袋地にはさまざまな規制やデメリットがあるため、一般的な土地より売れにくいと言われています。
しかし、売れにくいと言われている袋地でも、その特徴を理解した上で対応すれば、スムーズに売却できる可能性があります。
この記事では、袋地を売却する方法や活用方法について詳しく解説します。
袋地や囲繞地とは?
袋地とは、他人の土地に囲まれて道路に接していない土地のことです。道路に直接アクセスできないため、袋地の所有者は、他人の土地を通らない限り道路に出ることができません。
袋地と囲繞地の違い
袋地を取り囲んでいる土地を囲繞地(いにょうち)といいます。袋地は、以下の図の通り囲繞地に囲まれており、囲繞地を通らない限り道路に出られません。
そのため、袋地の所有者は、周囲の囲繞地を通って道路に出られるように、法律上で囲繞地通行権を持っています。囲繞地通行権とは、袋地の所有者が、その土地を囲んでいる囲繞地を通行できる権利のことです。
袋地は売りにくい
袋地は、囲繞地に囲まれており、道路に接していないことから売りにくい特徴を持っています。
袋地の所有者は囲繞地通行権を持っていますが、通行権の範囲や経路が限定されるなど、細かい制約があります。さらに、囲繞地通行権を行使するとしても、囲繞地の所有者との交渉しなけばいけません。交渉がうまく進まずにストレスを抱えてしまうこともあるでしょう。
また、袋地の一種である旗竿地の場合でも、通路が狭い場合にさまざまな問題が生じやすい特徴があります。
旗竿地とは、道路に接する部分が非常に狭く、細長い通路のような形状で、奥に広がる敷地がある土地のことです。旗竿地は、袋地と違って道路に出ることはできますが、道路に接する部分が狭いため、車の出入りや建築に制限が生じやすいデメリットがあります。
袋地や旗竿地のような土地は、通行権や利便性の問題がネックとなり、売却に不利になる傾向があるため注意が必要です。
袋地が売れにくい理由
袋地が売れにくい理由は、住宅ローンを組みづらいことや空き巣被害のリスクが高いことなどです。ここでは、袋地が売れにくい理由についてわかりやすく解説します。
新しく家を建てられない
袋地は、道路に接していないことから家を建てられません。
建築基準法の第42条、43条では、家を建てられる土地の条件として「幅員4メートル以上の道路に2メートル以上接道していないと建築物を建てられない」とされています。
これを一般的に「接道義務」と言いますが、袋地の場合は接道義務に違反するため、新たに家を建てることができません。袋地を買ったとしても建築物を建てられないことから、購入希望者が見つかりにくい傾向があります。
住宅ローンが組みづらい
住宅ローンが組みづらいことも、袋地が売れにくい原因のひとつです。袋地は、一般的な土地よりも制限が多いことで資産価値が低く見られる場合もあります。金融機関によるローン審査が通りにくいことも袋地が売れにくい原因のひとつです。
日当たりや風通しがよくない環境にある
袋地が売れにくい原因のひとつに、日当たりや風通しの問題があります。袋地は、四方を他の土地に囲まれているため、周囲に建物が建つ可能性があります。
四方を建物に囲まれることで、袋地にある建物には日光や風が届かなくなる可能性が高いでしょう。その結果、袋地にある住宅内は日中でも暗くなりがちで、湿気が溜まりやすくなります。
さらに、住環境に問題が発生するだけでなく、そこに住む人にも大きなストレスを与えてしまい精神衛生的にも悪い影響を与える場合もあるでしょう。このように、将来的に住環境の悪化が予測されることも、袋地が売れにくい原因のひとつです。
他人の敷地を通らないと公道に出られない
袋地の所有者は、公道に出るために隣地を通らなければなりません。囲繞地通行権が認められているものの、自由に通行できるわけではなく、所有者と協議して通行料を支払う場合もあります。
通行料金を払うとはいえ、他人の敷地内を通るたびに気を遣ってしまうため、精神的なストレスを感じてしまうこともあります。
空き巣被害に遭うリスクが高い
袋地は、周囲に囲まれているため、一般的な土地よりも死角が多くなる傾向があります。住宅周辺の死角が多くなることから、空き巣などの犯罪被害に遭うリスクが高まるため注意が必要です。
特に高い木や塀に囲まれた袋地は、外部からは何をしてても見えにくくなります。特に、空き巣に狙われやすい環境になっているため、空き巣被害に遭うリスクを恐れて、袋地の購入を諦める方もいらっしゃいます。
給排水管の工事は隣地の許可が必要
袋地では、給排水管の問題もあります。周囲を他人の土地に囲まれていることから、給排水管の修繕や補修工事の際には、隣地所有者の許可が必要です。許可が得られなければ、工事が進められず、場合によっては法的手段を取らざるを得ない場合もあります。
リフォームや解体費用が高額
袋地に建てられた家のリフォームや解体を行う際には、費用が高額になる傾向があります。
袋地には大きな重機やトラックが入れません。そのため、資材の搬入にも手間がかかり、工事全体に時間がかかってしまいます。
工事期間が長くなればなるほど、その間も人件費が発生し続けるため、一般的な土地で行うリフォームや解体費用よりも高額になりやすい傾向があります。
災害時の対応が遅くなる
袋地は、緊急車両の出入りができないため、災害時の救助や消防などの対応が遅れるリスクがあります。特に、地震が発生しやすい地域の場合、災害時のことも考えて土地探しをする方も多いでしょう。その場合、袋地であるというだけで選択肢から除外される可能性もあります。
袋地でも売却する方法は?
袋地は、さまざまな制限があることから、一般的には「売れにくい土地」とされていますが、売却方法を工夫することでスムーズに売却できるケースもあります。
ここでは、袋地でもスムーズに売却する工夫についてわかりやすく解説します。
隣地の人に購入してもらう
袋地の隣地所有者は、袋地になっている土地を活用しやすいため、購入してもらえる可能性があります。囲繞地を持っている方も、隣接する袋地を購入することで敷地が広がり、土地の価値も高まるため、隣地の所有者にとってもメリットがあります。1度交渉してみるのもひとつの手段です。
隣地を購入し旗竿地にする
袋地を売却しやすくするため、売却前に囲繞地を購入する方法もあります。囲繞地の一部を購入することで、接道義務を満たせます。接道義務を満たした土地になることで、その土地に住宅などを建築できるようになり、袋地の状態よりも売れやすくなるでしょう。
不動産会社に買い取ってもらう
袋地の売却が難しい場合、不動産会社に直接買取を依頼するのも1つの方法です。不動産会社は、さまざまな土地の売買経験を持っていることから、袋地をスムーズに売却できる方法を知っています。また、契約が決まればすぐに現金化できるのも不動産会社に買い取ってもらうメリットのひとつです。
袋地をスムーズに売却するなら不動産会社に相談しよう
袋地は、周囲を他の土地に囲まれている土地のことです。接道義務の問題や防犯上の問題など、活用しづらい特徴を持っていることからスムーズに売りにくい傾向があります。
しかし、売り方を工夫することで、袋地をスムーズに売却することも可能です。例えば、隣地の人に購入してもらう方法や、隣地の一部を購入して旗竿地にしてから売却する方法などがあります。
また、土地の状況によってベストな売却手段は異なるため、不動産のプロに相談しながら進めることも大切です。
有限会社住販では、売却に関するお悩みやご相談を受け付けております。袋地や囲繞地などの売りにくい土地であっても、お客様のご希望を叶えるために最適なプランをご提案いたします。
相談は無料です。ぜひ、お気軽にご相談ください。