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不動産売却にかかる税金は?注意点や対策について解説

<監修者>

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縄田 良太

「センチュリー21 住販」代表取締役。売り主様の希望をよく聞き、緻密に考え抜いた販売戦略で売却することを大切にしています。地元に根ざした経営スタイルが強み。
保有資格:宅地建物取引士

不動産売却において、税金の問題は避けて通れません。不動産売却を考えている方の中には、売却に伴う税金の種類や、税金対策の方法について詳しく知りたい方は多いのではないでしょうか。

この記事では、不動産売却にかかる税金の種類や支払う際の注意点について詳しく解説します。

事例:不動産売却で譲渡所得が高額に・・・

都内で長年保有していたマンションを売却したAさん。不動産価格が高騰しているタイミングを見て売却したため、想定以上に譲渡所得が高額になりました。Aさんは売却益に税金がかかることは知っていたものの、具体的な税金の種類や控除についてはわかりません。インターネットで調べても、難解な言葉ばかりで意味が理解できず、できるだけわかりやすく教えて欲しいと不動産会社に相談しました。

回答:不動産売却で発生する費用を把握する

不動産売却では、譲渡所得税や住民税だけでなく、その他の費用も含めて納税の準備をしなければなりません。また、税金対策や特例の活用については、不動産会社や税理士など専門家に事前に相談することで、不要な支出を抑えられる可能性もあります。

Aさんのように不動産売却で利益が発生した場合に知っておくべきこと

不動産売却で利益が発生すると、複数の税金や諸費用がかかります。Aさんが知っておくべき主な税金は以下の3種類です。

  • 不動産売却で利益を得た場合にかかる税金
  • 不動産売却の手続きにかかる税金
  • 譲渡所得税が抑えられる特例

これらを理解し、事前にしっかり準備を進めることで、税金や費用に関するトラブルを未然に防げます。ここからは、Aさんが知るべき内容でもある不動産売却にかかる税金や特例について詳しく解説します。

不動産売却手続きに必要な3種類の税金

不動産を売却する際には、利益に対して納付する税金だけを考えている方も多いでしょう。しかし、実際に売却益が発生する前に、売却手続きするだけでも税金を納付しなければいけないため注意が必要です。

不動産売却手続きに必要な税金は3種類あります。そのため、各税金について理解したうえで不動産売却を進めることが大切です。ここでは、不動産売却手続きに必要な3種類の税金についてわかりやすく解説します。

印紙税

印紙税とは、課税文書と呼ばれる特定の書面にかかる税金で、金銭の取引をする契約書や領収書などの作成時に課されるものです。

印紙税には、軽減措置があります。印紙税の軽減措置とは、産譲渡契約書や建設工事請負契約書などの契約書に記載された金額が10万円を超える場合に印紙税の税率を軽減するものです。

軽減措置の対象となる契約書は、平成26年4月1日から令和9年3月31日までの間に作成されたものです。土地・建物の売買の当初に作成される契約書のほか、売買金額の変更等の際に作成される変更契約書や補充契約書等についても軽減措置が対象になります。

契約金額本則税率軽減税率
10万円を超え 50万円以下のもの400円200円
50万円を超え100万円以下のもの1千円500円
1千万円を超え5千万円以下のもの2千円1千円
5千万円を超え 1億円以下のもの6万円3万円
1億円を超え 5億円以下のもの10万円6万円
5億円を超え 10億円以下のもの20万円16万円
10億円を超え 50億円以下のもの40万円32万円
50億円を超えるもの60万円48万円

引用: 不動産売買契約書の印紙税の軽減措置|国税庁 タックスアンサー

登録免許税

登録免許税とは、不動産や会社などの登記を申請する際に納付する税金です。登録免許税および建物の登記は、市町村で管理している固定資産課税台帳に登録されている価格が課税標準になります。

登録されていない価格の場合は、登記官が認定した価額になるため、不動産を管轄する登記所に問い合わせる必要があります。また、土地の所有権の移転登記、建物の登録免許税の税率は、それぞれ異なります。

土地の所有権の移転登記の税率は以下の通りです。

内容課税標準税率軽減税率
売買不動産の価額1,000分の20令和8年3月31日までの間に登記を受ける場合1,000分の15
相続、法人の合併または共有物の分割不動産の価額1,000分の4
その他(贈与、収用、競売等)不動産の価額1,000分の20

引用:登録免許勢の税額表|国税庁 タックスアンサー

登録免許税の税率は、登記の内容によって異なります。

土地の売買による所有権の移転登記は、令和8年3月31日までの間に登記を受ける場合に1,000分の15が軽減措置に適用されます。

建物の登記にかかる税率は以下の通りです。

内容課税標準税率軽減税率
所有権の保存不動産の価額1,000分の4個人が住宅用家用を新築または取得し自己の居住の用に供した場合
売買または競売による所有権の移転不動産の価額1,000分の20同上
相続または法人の合併による所有権の移転不動産の価額1,000分の4
その他の所有権の移転(贈与、交換、収用等)不動産の価額1,000分の20

引用:登録免許税の税額表|国税庁 タックスアンサー

所有権の保存および、売買または競売による所有権の移転は、軽減措置が適用されますが所有権の保存や所有権の移転などによって軽減税率が異なります。

詳しく知りたい方は、国税庁が提示している登録免許税の税額表|国税庁 タックスアンサー「住宅用家屋の軽減税率」をご参照ください。

仲介手数料の消費税

仲介手数料の消費税は、売買が成立した際、不動産会社に成功報酬として仲介手数料を支払う際に発生する消費税のことです。

仲介手数料は、売買価格の金額が高ければ高いほど支払う金額も高くなります。仲介手数料の上限額は、法律で以下のように定められています。

200万円以下の場合売買価格の5%(+消費税)
200万円を超えて400万円以下の場合売買価格の4%(+消費税)
400万円を超える場合売買価格の3%(+消費税)

引用:<消費者の皆様向け>不動産取引に関するお知らせ|国土交通省

例えば、売買価格500万円の不動産の場合で計算すると、200万円×5%+200万円×4%+100万円×3%=21万円(+消費税)となります。

不動産売却の仲介手数料にも消費税が発生していることを理解しておきましょう。

不動産売却で利益にかかる3種類の税金

不動産売却で利益を得ると、所得税、住民税、復興特別所得税の3種類の税金がかかります。これらの税金を差し引いた金額が、売却主が受け取れる利益です。

売却後の手取り額を正確に把握するためにも、各税金で引かれる金額について理解しておくことが重要です。ここでは、不動産売却での利益にかかる3種類の税金についてわかりやすく解説します。

所得税

所得税は、売却によって得た利益「譲渡所得」に対して課される税金です。不動産の譲渡所得税は、課税譲渡所得金額に税率を掛けて税額を計算します。

不動産売却時で利益を得たときにかかる課税譲渡所得の計算方法は、以下のとおりです。

譲渡価額 -(取得費+譲渡費用)- 特別控除額(一定の場合)= 課税譲渡所得金額

また、譲渡価額とその他の費用との関係性に関しては以下の表をご覧ください。

譲渡
価額
取得費不動産の購入価格および購入にかかった費用(仲介手数料など)建物は所有年数に応じて減価償却する
譲渡費用仲介手数料や印紙代など、不動産売却にかかった費用
特別控除額収用などのとき:最高5,000万円自分の住んでいる家屋と土地を売ったとき:最高3,000万円
課税譲渡所得金額

引用:土地や建物を売ったとき|国税庁

譲渡価額を差し引いた所得が課税譲渡所得金額になります。譲渡所得税と住民税は課税譲渡所得がプラスであるときのみ発生し、マイナスである場合は税金が発生しません。

譲渡所得の税額は所有期間で変わる

譲渡所得の税率は、「長期譲渡所得」と「短期譲渡所得」で異なります。

土地や建物を売った年の1月1日現在で、その土地や建物の所有期間が5年を超える場合は長期譲渡所得の区分になり5年以下の場合は、短期譲渡所得の区分になります。

譲渡所得税の区分ごとの税率は以下の通りです。

区分所得税住民税
長期譲渡所得15%5%
短期譲渡所得30%9%

引用:土地や建物を売ったとき|国税庁

不動産の譲渡所得税における税率は、区分ごとに税率が変わります。まずは所有期間がどちらの区分に当てはまるか理解しておきましょう。

不動産売却で利益が発生したら確定申告が必要

不動産売却で利益が発生した場合、翌年の3月15日までに、必ず確定申告が必要です。この利益から「課税譲渡所得」を計算して、利益額に応じた「所得税」を支払う必要があります。

不動産売却で損失が発生した場合には、確定申告は必要ありません。しかし、損失が発生した場合の特例を利用する際は、確定申告が必要です。確定申告をする際には、必要書類を確認した上で手続きを進めましょう。

住民税

住民税は、所得税とは別に地方自治体に支払う税金で、不動産売却時の譲渡所得に対しても課されます。住民税の税率は一律で10%と定められており、譲渡所得が確定した後、その金額に対して住民税が計算されます。

譲渡益が発生した際の税金対策

不動産売却で譲渡益が発生した場合、所得税や住民税などの税金が課されます。しかし、適切に対策することで、これらの税負担を軽減することが可能です。ここでは、譲渡益が発生した際に活用できる具体的な節税対策を詳しく解説します。

1. 取得費が分かる資料を探す

譲渡所得の計算では、不動産の取得費用は、重要です。取得費が高ければ譲渡所得が減り、その分課税額を抑えることができるからです。取得費が分かる資料は、購入時の売買契約書です。節税するには、購入時の売買契約書のような取得費が分かる資料を事前に準備しておきましょう。

2. 取得費に加算できるものを加える

取得費とは、売却時の利益を計算する際に、控除できる費用であり、課税される金額を減らすことができます。そのため、取得費が高いほど、譲渡所得は少なくなり、課税額も抑えられます。

取得費に加算できるものは、以下のとおりです。

取得費に加算できるもの
・取得時の仲介手数料
・取得時の不動産取得税
・取得のための測量費
・取得のための建物の取り壊し費用
・取得時に司法書士へ支払った手数料
・取得に際して支払った立退料
・取得時の売買契約書に貼付した印紙代
・移転料取得時の売買契約書に貼付した印紙代購入時の整地、埋立て、地盛りの費用、下水道、擁壁の設置費用

譲渡所得は、不動産を売却したときの利益のことです。この利益は、売却価格(譲渡価額)から「取得費」や「譲渡費用」を差し引いて計算されます。そのため、取得費を正確に計算することが課税される所得を減らすことにつながり、最終的に課税額を抑えることにつながるのです。

3. 譲渡費用を漏れなく算入する

譲渡費用とは、不動産を売却する際に直接かかった費用のことです。この費用は、譲渡所得の計算時に控除することができるため、漏れなく参入することで課税される金額を減らせます。

譲渡費用に含まれるものは、以下のとおりです。

譲渡費用に含まれるもの
・売却時の仲介手数料
・売買契約書の印紙代
・売却のために測量した測量費
・売却のために行った建物の補修費
・売却のために広告した場合の広告料
・売却のために鑑定をした場合の鑑定料
・買主の登記費用を負担した場合はその負担額買主との交渉のために要した交通費、通信費等
・売却のために借家人を立退かせるために支払った立ち退き料

これらの費用を漏れなく算入し、譲渡所得を減らしましょう。

4. ふるさと納税を利用する

ふるさと納税とは、自分の地方自治体に寄付を行い、その金額に応じて税金の控除を受けられる制度です。多くの方は、住民税や所得税を軽減する手段として、この制度を活用しています。

不動産売却で利益(譲渡所得)が発生した場合、このふるさと納税を上手に利用することで、増えた課税額を軽減することが可能です。

ただし、ふるさと納税は、寄付額が控除上限額を超えると、超過分が自己負担になります。不動産売却で所得が増える場合でも、控除額に上限があるため注意が必要です。

復興特別所得税

東日本大震災からの復興を支援するために導入された税金です。所得税の2.1%が復興特別所得税として課されます。例えば、年間の所得税が10万円の場合、復興特別所得税として納付すべき金額は2,100円です。

各税金の支払い時期は異なる

不動産の売却益に発生する税金の支払い時期は、税金の種類によって異なります。各税金の支払いタイミングは以下の表をご参照ください。

税金支払うタイミング
印紙税売買契約を締結したとき
登録免許税抵当権の抹消など所有権の移転登記を申請したとき
仲介手数料の消費税売買契約を締結時と物件引き渡しのとき(2回に分けて支払うのが一般的)
所得税売却した翌年度の6月以降
住民税売却した翌年度の6月以降
復興特別所得税売却した翌年の確定申告期間中の2月16日〜3月15日までの間

不動産売却時に伴う税金は、支払うタイミングが異なるため、あらかじめ確認しておくことが大切です。また、利益が出た場合、所得税と住民税の納税は売却の翌年に支払いになる点も把握しておきましょう。

譲渡所得税が抑えられる特例とは

譲渡所得税が抑える方法として、マイホームを売ったときや被相続人の居住用財産を売った場合などの際に適用される特例などがあります。ここでは、譲渡所得税が抑えられる特例の適応要件などについて詳しく解説します。

マイホームを売ったときの特例

マイホーム(居住用財産)を売ったときは、所有期間の長短に関係なく譲渡所得から最高3,000万円まで控除できる特例があります。

特例を受けるための要件として、住まなくなってからの期間や特定の特例を受けていないことなどがあります。

特例の要件について詳しく知りたい方は、国税庁のWebページ「マイホームを売ったときの特例」をご覧ください。

住宅ローンが残っているマイホームを売却して譲渡損失が生じたときの特例

令和5年12月31日までに住宅ローンのあるマイホームを住宅ローンの残高を下回る価額で売却して損失が生じた場合は、その譲渡損失をその年の給与所得や事業所得など他の所得から控除できます。

住宅ローンが残っているマイホームを売却した際の特例を受けるための要件としては、所有期間が5年を超えることや償還期間10年以上の住宅ローンの残高があることなどが含まれます。

この特例について詳しく知りたい方は、国税庁のWebページ「住宅ローンが残っているマイホームを売却して譲渡損失が生じたとき」をご覧ください。

被相続人の居住用財産を売ったときの特例

相続または遺贈により取得した被相続人居住用家屋または被相続人居住用家屋の敷地等を売って、一定の要件に当てはまる場合、譲渡所得の金額から最高3,000万円まで控除できます。

被相続人の居住用財産を売ったときの特例を受けるための要件として、事業用や貸付用に利用されていないことや売却代金が1億円以下であることなどが含まれます。

被相続人の居住用財産を売ったときの特例について、より詳しく知りたい方は国税庁のWebページ「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」をご覧ください。

不動産売却で発生する税金を理解して事前に対策を立てておこう

不動産売却にかかる税金を最小限に抑えつつ、スムーズに売却手続きを終えるためには、各税金の特徴を理解し、事前に対策しておくことが大切です。また、さまざまな特例に関する知識を持っておくことで、より賢く不動産を売却できます。

しかし、税金に関するルールは非常に複雑で、素人が全てを把握することは困難です。そのため、不動産売却に対する税金対策をするためには、専門家のアドバイスを受けるとよいでしょう。

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