不動産売却に強い-有限会社住販

不動産売却の最適なタイミングは?シーズンや税制について解説

<監修者>

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縄田 良太

「センチュリー21 住販」代表取締役。売り主様の希望をよく聞き、緻密に考え抜いた販売戦略で売却することを大切にしています。地元に根ざした経営スタイルが強み。
保有資格:宅地建物取引士

不動産売却を考える際に「不動産売却に1番いいタイミングはいつなんだろう・・・」と考える方も多いのではないでしょうか。

スムーズに最適な価格で不動産売却を進めたいのであれば、売却するタイミングも重要です。なぜなら、不動産市場は経済状況や金利の影響で変動したり、シーズンによって価格が変動したりするからです。

ここでは、不動産売却の最適なタイミングやシーズン税制などについて詳しく解説します。

事例:税金と市場動向に悩むAさんの不動産売却計画

Aさんは、東京都内で築10年のマンションを所有しています。しかし、家族構成の変化により広い物件への買い替えを検討することになりました。

まず、Aさんが懸念していたのは税金の負担です。不動産売却益には税金がかかることは知っていましたが「所有期間によって税率が変わる」「居住用財産には特例がある」など、複雑な税制の仕組みに混乱してしまいました。所有期間が5年を超えると税率が下がることを知り、売却時期に悩みました。

回答:税金対策と市場動向を考慮した売却計画をする

納得した価格で売却するためには、売却のタイミングと税金との関係性を理解したうえで、計画的に売却することが大切です。

不動産売却で利益が発生した場合、その金額に応じて税金が課されます。ただし、税率は「所有期間」によって異なり、所有期間が5年を超える場合は税率が約20%(長期譲渡所得)に抑えられるのに対し、5年以下の場合は約40%(短期譲渡所得)と大幅に増えます。このため、自身の物件の所有期間を確認し、税率が有利になるタイミングを狙うことで、税金を大幅に節約することが可能です。

また、Aさんが所有していたマンションは、居住用の物件だったため、譲渡所得から最大3,000万円を控除できる特例が適用されます。この特例を利用することで、自宅を売却する際に税金を納める必要がなくなる場合もあります。

ただし、この特例を受けるには「住まなくなってから3年以内に売却する」などの要件があるため、計画的に進めることが大切です。

この特例は、不動産売却で得た譲渡所得が少ない場合に、税金がかからないこともあります。

不動産売却にタイミングは必要?

不動産市場は経済状況や金利などの影響で常に変動しており、一般的には、景気がいい時期に高値で売却できる可能性が高まるでしょう。

例えば、春と秋は引っ越しシーズンで需要があるため、不動産価格が高くなりやすい傾向があります。

このように、世の中のニーズによって不動産の価値は常に変動しています。不動産売却のタイミングを考える際には、どのタイミングで売却するか考えて決めるとよいでしょう。

不動産売却のタイミングを見極める基準は?

不動産売却の最適なタイミングを見極めるためには、市況データによる不動産価格の変動や、物件の築年数などを考慮することが大切です。ここでは、不動産売却の最適なタイミングを見極めるために重要な4つの基準についてわかりやすく解説します。

市況データを確認する

市況データとは、不動産価格の変動や需要と供給のバランスを示す指標です。一般的に、不動産の需要が高まると不動産価格が上昇し、供給が増えると不動産価格が下落する傾向があります。

市況データによって価格の変動と供給のバランスを把握できれば、売却に有利な時期を見極められます。市況データで確認すべきポイントは、季節ごとの価格変動です。ここでは、国土交通省が提示している令和5年不動産価格指数の表を例に解説します。

不動産価格の動きを見る

不動産価格の動きを見るに参考にすべき指数のひとつが「不動産価格指数」です。

不動産価格指数では、価格変動を把握できるだけでなく、現在の市場状況や今後の見通しが把握しやすくなります。

国土交通省が発表している令和5年不動産価格指数の表は、以下のとおりです。

出典:国土交通省「不動産価格指数(住宅)(令和5年4月分・季節調整値)

不動産価格指数では、各住宅ごとに不動産価格の動きがグラフで表されています。

2010年の平均を100とした場合、マンション(緑線)は右肩上がりで急激に上昇していますが、住宅地(黄線)はマンションと比較するとあまり伸びていないことが分かります。このグラフから、今上昇傾向であると判断して売却するのもよいでしょう。

ただし、これは過去のデータであるため、このデータだけでタイミングか判断するのは困難です。こここまで順調に不動産価格が上昇していますが、翌年さらに伸びる可能性もありますし、下がる可能性もあります。それは、未来の話なので、誰にも予測できません。

このデータだけを参考に売却するタイミングを決めることはできませんが、過去の傾向を把握する方法としては参考になるでしょう。

指定流通機構物件動向を確認する

指定流通機構物件動向とは、不動産取引の円滑化を目的とした「レインズ(Real Estate Information Network System)」を通じて取引される不動産のデータを統合した指標です。

レインズとは、不動産業者が登録した物件情報を、全国の不動産関連会社で共有できるデータベースです。主に、不動産市場における動向を把握する情報源として活用されています。

例えば、指定流通機構物件動向で成約件数が多い時期は、買主の需要が高まっているといえるでしょう。需要が高ければ、より高い価格での売却やスムーズな売却が期待できるため、不動産売却において有利なタイミングとも考えられます。

不動産流通推進センターのデータをマンションと戸建てごとに確認してみましょう。

出典:不動産流通推進センター「指定流通機構の物件動向(令和6年5月)

マンションの物件動向を見てみると、3月が最も成約件数が多いことがわかります。また、前年度よりも少し件数が上がっていると同時に成約価格も上がりつつあるため、需要が高いとも考えられます。

一方で8月は、需要が低いためこの時期に売却をすると、なかなか買主が見つからない可能性もあるでしょう。

出典:不動産流通推進センター「指定流通機構の物件動向(令和6年5月)

戸建ての物件動向では、増減を繰り返していますが、引越し等が多くなる3月の成約件数が圧倒的に多いことがわかります。

このように、月とグラフの動きをみることで、売るべきタイミングや売りやすい時期がわかってきます。

築年数

マンションと戸建て住宅の価格は、築年数によって大きく変動します。一般的に、住宅の価値は、築年数が古ければ古いほど下がります。そのため、売るタイミングとして築年数も重要です。

公益財団法人不動産流通推進センターが令和6年6月に公開している「不指定流通機構の物件動向(令和6年5月)」をによると、令和6年5月に成約したマンションの平均築年数は25.19年、戸建て住宅の平均築年数は26.68年とされています。

「現在成約されている平均築年数」を把握しておくことで、住宅の売却タイミングを決める際の参考になります。

税金

家を売って利益が出た際には、譲渡所得税を支払う義務があります。しかし、譲渡所得税の税率は、家の所有期間によって異なります。

譲渡所得税率は、不動産を売却した年の1月1日時点において、譲渡する不動産の所有期間が5年以下である場合には短期譲渡所得、所有期間が5年を超える場合は長期譲渡所得の税率が適用されます。

それぞれの税率は以下のとおりです。

税率
区分所得税住民税
短期譲渡所得30%9%
長期譲渡所得15%5%

この2つの所得は、税率が倍近く違うため、家の所有期間が5年を超えたタイミングで売却することで支払う税金を大幅に抑えられます。

不動産売却しないほうがいいタイミングは?

一般的に、不動産の相場価格が上昇している場合は、不動産売却を避けた方がよいとされています。

また、譲渡所得の税率が変化するタイミングにも注意が必要です。ここでは、不動産売却を避けたほうがよいタイミングについて詳しく解説します。

相場価格が上昇中であるとき

不動産価格のグラフを見たとき、価格が上昇し続けている場合は、今後さらに売却価格が上がる可能性もあります。反対に、価格が下がり続けている場合は要注意です。

ただし、将来に起こることは誰にも予測できないため、グラフの変動だけを信じすぎないように注意しましょう。

購入から5年以内の家

5年以内の家は、5年越えの家を売る場合に比べ、およそ2倍の税率が課せられます。そのため、何も意識せずに5年以下で売却してしまうと、税金の負担がかなり大きくなってしまう点には注意しましょう。

もし、売却のタイミングを自由に設定できるのであれば、できる限り5年以上経過してから売却することをおすすめします。

家を売るタイミングで活用できる特例

自宅を売る際には、所有期間の長短に関係なく譲渡所得から最高3,000万円まで控除できる特例があります。しかし、特例を受ける要件として、住まなくなってから一定の期間が経過していることや特定の特例を受けていないことなどがあります。ここでは、自宅を売るタイミングで活用できる特例について解説します。

マイホームを売却した際の特例

居住用財産を売却した際には、居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例(通称:マイホームの3,000万円控除)が利用できます。この特例を利用するには、売却する家に10年以上住んでいることなど、一定の条件を満たす必要があります。

マイホームを売却した場合の特例適用要件と適用が除外される要件については、以下の表をご参照ください。

区分内容
適用要件○売却資産が以下のいずれかに該当すること
・現在住んでいる家屋
・以前住んでいた家屋(3年以内に売却)
・上記家屋の敷地や借地権
・取り壊した家屋の敷地(条件あり)
・災害で滅失した家屋の敷地(期限あり)
○過去3年間に同様の特例適用がないこと
○過去3年間にマイホームの買換え・交換特例適用がないこと
○他の特別控除との重複適用がないこと
○特別な関係者への売却でないこと
適用除外○特例適用目的のみで入居した家屋
○仮住まいや一時的に入居した家屋
○別荘など趣味・娯楽・保養目的の家屋

参考:国税庁「No.3302 マイホームを売ったときの特例」

この特例を活用する際には、事前に要件を満たしているか内容を確認をしましょう。

空き家に係る特例

売却する家が空き家の場合、適用条件を満たしていれば「空き家に係る譲渡所得の特別控除の特例」を受けられます。この特例は、相続で取得した空き家を売却したときに得られる譲渡所得の金額から、3,000万円分が控除される特例です。

ここでは、空き家に係る譲渡所得の特別控除の特例について詳しく解説します。

特例の対象である相続人居住用家屋の要件

特例の対象となる、被相続人居住用家屋とは、相続の開始の直前において被相続人の居住の用に使用されていた家屋のことで、以下の要件があります。

要件内容
建築時期昭和56年5月31日以前
建物種類区分所有建物登記がされていない
居住状況相続開始直前に被相続人のみが居住
主な用途被相続人の居住用(一つの建築物に限る)

参考:国税庁「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」

例えば、被相続人が要介護認定を受けて老人ホームに入所していた場合や、その他の特別な理由で亡くなる直前に自宅に住んでいなかった場合、上記の条件を満たせば、特例の対象となります。

被相続人居住用家屋の敷地等の条件

被相続人居住用家屋の敷地等とは、被相続人が住んでいた家の土地のことです。売却する空き家の土地にも条件があるため注意しましょう。敷地の要件については、以下のとおりです。

項目内容
基本定義相続開始直前に被相続人居住用家屋の敷地だった土地またはその権利
複数建築物がある場合被相続人居住用家屋(母屋)の床面積比率に応じた土地部分

参考:国税庁「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」

空き家に係る特例を活用する際には、上記の条件を満たしている土地であるか、確認しましょう。

売却者や売却方法に関する要件

空き家に係る特例の要件には、売却条件や売却方法、売却期限などがあります。また、売却金額についても規制があるため、確認した上で活用しなければなりません。

要件内容
売却者の条件相続または遺贈により被相続人居住用家屋および敷地等を取得した相続人(包括受遺者含む)
売却方法以下のいずれかに該当すること
1.被相続人居住用家屋(および敷地等)の売却
2.被相続人居住用家屋の取り壊し後の敷地等の売却
3.耐震基準を満たすまたは取り壊し予定の被相続人居住用家屋(および敷地等)の売却
売却期限相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日まで
売却金額1億円以下

参考:国税庁「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」

 特に、売却方法については、さらに追加要件がある点は理解しておきましょう。各売却方法には、以下の要件があります。

売却方法追加要件
家屋(および敷地)の売却・相続から売却まで事業・貸付・居住用に使用していない
・売却時に耐震基準を満たす
取壊し後の敷地売却・家屋相続から取り壊しまで事業、貸付、居住用に使用していない
・敷地相続から売却まで事業、貸付、居住用に使用していない
・取り壊し後、建物や構築物の敷地として使用していない
耐震基準を満たす予定の家屋(および敷地)の売却・相続から売却まで事業、貸付、居住用に使用していない
・売却後翌年2月15日までに耐震基準を満たす

参考:国税庁「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」

耐震基準を満たす予定の家屋についての要件は、売却後翌年2月15日までに耐震基準を満たす必要があるため、期間には注意しましょう。

この特例に関する詳しい情報は、国税庁のWebページ「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」をご参照ください。

不動産売却で失敗しないためにも売却タイミングに注意しましょう

不動産売却をするときは、価格の変動の確認や家の所有期間、売却時期のタイミングを知っておくことで最適な価格での売却を実現できます。

しかし、やむを得ない事情などにより、全ての条件が整ったタイミングで売却するのは難しい場合もあるでしょう。全ての条件が揃うのを待つのではなく、できる限り理想的な価格で売却できるタイミングを見つけることが大切です。

有限会社住販は、地域密着の不動産売却に強い会社です。売却で悩む人をなくしたいという強い想いから、最適な売り方とタイミングのアドバイスをさせていただき、気持ち良くスムーズに売却できるようサポートいたします。

無料相談を受け付けております。不動産売却のタイミングや見極めに悩まれている方は、ぜひ1度ご相談ください。

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